東京都でクリニック開業|23区vs郊外おすすめのエリアをご紹介
1.はじめに|東京でのクリニック開業が依然として注目される理由
東京でクリニックを開業する医師が後を絶たないのはなぜでしょうか。日本最大の都市である東京都には、全国最多の人口と、さまざまな診療ニーズが存在します。23区内だけでも約1000万人が生活しており、都下の市部(郊外)も含めれば、その規模はさらに拡大します。
加えて、医療に対する意識が高い層が多く、自費診療・専門診療に対する関心も根強いため、自由度の高い開業戦略が立てやすい環境にあるのが特徴です。
また、以下のような理由から、東京は今なお開業希望地として人気を集めています。
- 人口集中による安定的な集患が見込める
- 地域ごとにターゲット層が明確で、ブランディングしやすい
- 医療インフラや連携先(調剤薬局・病院)が整っている
- 公共交通が発達しており、通院しやすいエリアが多い
しかし、その一方で競合の多さ、地価の高さ、差別化の難しさといったリスクも存在します。特に東京23区内と郊外では、患者層や立地条件が大きく異なるため、「どこで・どのように」開業するかが極めて重要になります。
本記事では、立地や競合、診療圏分析の観点からおすすめの開業エリアや診療戦略を詳しく解説していきます。
2.東京23区で開業するメリット・デメリットとは?
東京23区は、全国の中でも圧倒的な人口密度と経済集積を誇るエリアです。特に都市部でのビジネス・生活の利便性から、集患面で有利とされる一方、開業リスクも存在します。
圧倒的な人流・商圏規模
新宿・渋谷・池袋・東京駅周辺など、23区内には国内最大規模のターミナル駅やオフィス街が広がっており、平日・休日問わず人の流れが多いのが特徴です。また、居住エリアとビジネスエリアが近接しているため、内科・皮膚科・耳鼻咽喉科・婦人科など多様な科目において需要があります。
通勤・通学途中の「ついで受診」や、昼休みの短時間診療を希望する層も多く、診療時間の柔軟性や予約体制の工夫が集患のカギを握ります。
競合の多さとコストの高さ
一方で、23区内の開業には厳しい側面もあります。まず、地価・家賃が非常に高いため、初期投資やランニングコストが大きくなります。人気の駅近テナントでは、坪単価2万円を超えることも珍しくありません。
さらに、既存クリニックや大病院も密集しており、同一診療科の競合数が多いエリアでは開業後のポジショニング戦略が求められます。特に内科・皮膚科・耳鼻科・眼科といった汎用性の高い診療科は、差別化が難しい傾向にあります。
集患・ブランド化の戦略性が求められる
23区内で成功するためには、以下のようなポイントが鍵となります。
- 駅から徒歩数分以内など、通いやすさの徹底
- ネット集患(SEO・SNS)やオンライン診療の活用
- 専門性の打ち出し(例:アトピー特化、禁煙外来、小児皮膚科など)
- ハイグレードな内装・ホスピタリティによるブランド力
つまり、“開業すれば患者が自然と来る”時代ではなく、選ばれる理由を明確に提示できるかが成功の分かれ目となります。
3.東京郊外で開業するメリット・デメリットとは?
東京都下(郊外)には、23区とは異なるニーズと可能性が広がっています。武蔵野市・三鷹市・立川市・町田市などに代表される郊外エリアは、住宅地としての成熟度が高く、地域密着型医療を志す開業医にとって非常に魅力的なフィールドです。
家賃・開業コストの抑制
郊外エリアでは、駅近でも坪単価1万円以下の物件が見つかることも多く、初期投資や月額賃料を大きく抑えられる点がメリットです。駐車場付きの物件や、複数診療科のモール型テナントも比較的見つけやすく、診療圏を広く設定しやすい傾向にあります。
このコスト優位性により、23区では難しい広めの院内設計やゆとりある待合スペース、複数診察室の確保なども可能です。
地域密着型医療と患者の信頼構築
郊外エリアでは、地域の「かかりつけ医」としての役割を期待される傾向が強く、長く信頼される関係性を築くことができます。ターゲットとしては以下のような層が中心になります。
- 高齢者層(慢性疾患・生活習慣病など)
- ファミリー層(小児科・皮膚科・耳鼻科など)
- 共働き世帯(平日夕方や土曜の診療ニーズ)
オンコール対応や訪問診療を行うことで、より地域に根ざした医療を展開することも可能です。
通院手段や人口動態を見極める力
ただし、郊外での開業には、診療圏調査の精度が23区以上に求められます。車社会が中心となる地域では、「駅から徒歩5分」よりも「大型スーパーの隣」「バス通り沿い」などの方が有利なケースも多くなります。
また、人口の微減や高齢化率の上昇に伴い、将来的な患者数の変化も視野に入れた上で、持続可能な立地戦略を立てる必要があります。
4.23区内でおすすめのクリニック開業エリア5選
東京23区内での開業を検討する際、医療需要と競合バランスが取れたエリア選定は極めて重要です。以下では、開業ニーズが高いとされる5つの注目エリアを紹介します。
港区・中央区|自費診療や専門診療に強み
ビジネスエリアとしての印象が強い港区・中央区は、高所得者層が多く、自費診療(美容皮膚科、自由診療内科、婦人科など)との親和性が高いエリアです。特に東京駅、新橋、銀座、表参道エリアでは、企業経営者や外資系ビジネスマンの来院が見込まれます。
ただし、家賃相場は非常に高く、ブランディング・高付加価値型の診療設計が前提となるエリアです。
世田谷区・杉並区|生活者に密着した医療の提供が可能
ファミリー層が多く、生活圏として安定した世田谷区・杉並区は、内科、小児科、耳鼻科、皮膚科などの生活医療で強みを発揮できる地域です。
保育園や小学校の近く、バス通り沿いのテナント物件などでは、小児系診療との相性が良好。地域の評判が集患に直結しやすいため、接遇やスタッフ教育にも力を入れる必要があります。
江東区・品川区|人口増加エリアとして将来性あり
湾岸エリアの再開発が進む江東区(豊洲・東雲など)や品川区(五反田・大井町など)は、新興マンションの建設と共に若年〜中堅層の人口流入が目立ちます。
共働き家庭が多く、夜間診療やWEB予約の導入など利便性の高い運営がポイントとなるエリアです。将来の医療需要拡大も見込めるため、初期投資が可能であれば、今のうちに押さえておく価値があります。
練馬区・足立区|医療空白地に近く、競合がやや緩やか
23区の中でも郊外に近い練馬区・足立区は、家賃も比較的手頃で、住宅街のなかにある“地元密着型クリニック”としての運営が可能です。
特に皮膚科や整形外科、リハビリ系クリニックは、高齢者層のニーズに応えやすく、安定した来院が見込めます。
台東区・墨田区|高齢者多めの地域で慢性疾患中心の展開を
浅草・押上エリアなどを含む台東区・墨田区は、高齢化が進んでおり、生活習慣病や循環器内科、在宅医療のニーズが高い地域です。
患者との長期的な関係構築が可能で、オンライン診療や服薬指導など、生活を支えるクリニック機能の導入が効果的です。
5.郊外で注目の開業エリア4選(東京都下)
東京都下にも、開業に適した魅力的なエリアが多数存在します。23区よりも開業ハードルが低く、地域に根差した長期経営が目指せる郊外エリアの注目候補をご紹介します。
立川市・国分寺市|安定的な医療ニーズと集客が見込める
中央線沿線の立川・国分寺は、都心からのアクセスが良く、駅周辺に商業施設が集積しているため、通院利便性が高いのが特徴です。
再開発による人口増加が進んでおり、皮膚科・内科・婦人科などの開業が盛ん。競合も多いですが、ブランディング次第では高い集患が期待できます。
多摩市・調布市|子育て世帯中心の需要に対応
京王線エリアの多摩市・調布市は、ベッドタウンとして発展しており、ファミリー層を対象とした小児科や耳鼻科が有望です。
特に、保育施設や大型ショッピングモールの周辺に立地することで、利便性を活かした集患が可能です。土日診療や夕方診療の導入が効果を発揮しやすい地域です。
八王子市・町田市|広域エリアでの医療拠点に
人口規模が大きく、周辺エリアからの来院も見込める八王子・町田エリアでは、複数診療科を展開するクリニックやモール型開業がマッチします。
自家用車利用者が多いため、駐車場付き・ロードサイド型クリニックが人気です。整形外科や循環器科、糖尿病内科など、慢性疾患対応型の運営も成功しやすい傾向にあります。
武蔵野市・三鷹市|文化性と医療ニーズが共存
吉祥寺を中心とした武蔵野市、三鷹市は、高い生活水準と文化的な価値観を持つ住民が多く、医療に対する意識も高いのが特徴です。
内装や接遇を重視し、「通いたくなるクリニックづくり」を意識することで、口コミや紹介が広がりやすい地域でもあります。
6.立地選定に失敗しないための診療圏調査と競合分析
23区・郊外を問わず、クリニック開業で最も重要なのは「立地選定」です。感覚や地元の印象だけで判断せず、データに基づいた診療圏調査と競合分析を行うことで、成功確率を高めることができます。
半径500m〜1km圏の人口・世帯・年齢層分析
診療圏調査では、まず対象地周辺の人口構成、世帯数、年齢分布、昼夜人口の差などを確認します。診療科目に応じて「ターゲット層が十分存在するか」を数値で把握できることが重要です。
例:
- 小児科 → 0〜14歳人口
- 内科 → 高齢者比率
- 婦人科 → 20〜40代女性人口
同科目の競合数と距離の影響
次に見るべきは、同じ診療科を掲げる競合の有無とその距離です。徒歩3分圏内に同科目が2件あると、初期集患が難しくなるケースもあります。
ただし、同じ科目でも診療時間・設備・専門性・口コミ評価などに違いがあれば、共存可能なケースも多いため、戦略次第で切り開けます。
来院導線と周辺施設の相乗効果
患者は「診療だけ」で行動しません。スーパー、ドラッグストア、保育園、学校など、生活動線の中にクリニックがあるかどうかがポイントです。
また、同一施設内に調剤薬局、他診療科クリニックがあるモール型物件であれば、相乗効果で新規患者の獲得もしやすくなります。
7.東京での開業に向いている診療科目とターゲット層
東京23区と郊外では、生活環境・住民層・交通手段が異なるため、エリアごとに適した診療科目とターゲット層も変わってきます。ここでは、立地と診療科の相性を整理しながら、開業戦略を検討するヒントをお伝えします。
自費診療に適したエリアと科目
港区・中央区・渋谷区などの都心部では、高所得層・ビジネスマン・外国人居住者などを対象とした自費診療のニーズが高まっています。特に以下のような診療科・サービスが注目されています。
- 美容皮膚科(しみ、しわ、ニキビ、IPL、レーザー)
- 自由診療の婦人科(低用量ピル、月経管理、更年期対策)
- 男性専門クリニック(AGA、ED、検査特化)
- 点滴療法・サプリメント処方などの予防医療
これらの科目では、立地の利便性と共に「ブランディング力」「プライバシー対応」「高単価でも納得してもらえるUX(ユーザー体験)」が求められます。
ターゲット層は20代後半〜50代の働く世代が中心であり、平日夜・土日の診療時間を確保することで来院数を安定させやすくなります。
地域密着型に向く診療科と立地条件
郊外や住宅エリアでは、通いやすさ・安心感・家族単位での継続受診が重視されます。よって、地域に根ざした以下のような診療科が開業に向いています。
- 小児科・耳鼻科:保育園や小学校に近い立地がベスト
- 内科・生活習慣病クリニック:高齢者層の多い地域
- 整形外科・リハビリテーション:駐車場完備+バリアフリー施設
- 在宅医療・訪問診療:郊外での高齢者在宅支援ニーズに対応
ターゲット層としては、小学生以下の子どもを持つ家庭、高齢の単身世帯、共働き家庭が中心になります。生活圏での「ついで受診」や「近くにあって助かる存在」を目指す運営が好まれます。
診療科目ごとに異なる集患戦略の方向性
診療科目によって、集患戦略の方向性も大きく異なります。以下に一例を示します。
診療科目 | 集患戦略の主軸 |
---|---|
小児科 | 地域連携(保育園・学校)+親の口コミ対策 |
美容皮膚科 | SNS、SEO、Web広告などのブランディング重視 |
内科(生活習慣病) | 高齢者対応・通院支援・地域密着型広告(チラシなど) |
自費婦人科 | Web集患+女性特化の内装・スタッフ構成 |
整形外科 | 駐車場+リハビリ施設充実+地域スポーツクラブとの連携 |
どの診療科目においても、立地条件・競合環境・患者層との相性を重視しながら、総合的に戦略を設計することが成功への近道となります。
8.まとめ|東京での開業は“戦略と準備”が成功の鍵
東京でのクリニック開業は、全国でも最も競争が激しい一方で、最も医療ニーズと可能性が詰まった地域でもあります。23区の都心エリアには人流・商圏・専門医療のチャンスがあり、郊外には地域密着・長期運営の強みがあります。
重要なのは、次の3点をしっかりと見極めることです。
- 立地: 診療圏調査や周辺環境の分析によって、失敗のリスクを減らす
- 競合: 同科目クリニックの有無や評価を調査し、差別化ポイントを明確に
- 診療科とターゲット: エリアに合った診療内容・サービス設計を行う
たとえば、23区のターミナル駅周辺で開業するなら、高単価・高サービス型の自費診療に強みを持たせるべきです。逆に郊外の住宅地では、地元の生活導線に密着した、小児科や内科、リハビリ中心の整形外科などが適しています。
また、開業後の集患にはWebサイトやSNS、地域広告の使い分けも重要です。患者目線に立った運営設計をしなければ、どれだけ良い立地でも選ばれません。
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