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コラム

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クリニック開業費用の内訳を徹底解説|これで開業は怖くない!

 

1.クリニック開業に必要な費用とは?

クリニック開業に必要な費用とは?

クリニックの開業には、多くの医師が想像する以上に多額の資金が必要となります。立地選定や物件取得から始まり、内装工事、医療機器の導入、広告・採用活動、さらには開業後しばらくの運転資金まで、準備すべき費用項目は多岐にわたります。中には、「2,000万円ほどで開業できる」といった情報もありますが、これはあくまで最低限の条件で整えた場合に限られ、実際には4,000万〜6,000万円前後が相場となっています。

開業費用の基本構成

クリニック開業費用は大きく次のようなカテゴリーに分類されます。

  • 物件取得費: 保証金や敷金、仲介手数料など
  • 内装・工事費: 設計・施工・医療向け設備の整備
  • 医療機器・備品購入費: 診療内容に必要な機器類
  • 広告・広報費: 開業告知や集患のための初期広告
  • 人件費・採用費: スタッフ採用や開業前研修など
  • 運転資金: 数ヶ月分の家賃・人件費・薬剤・消耗品費など

これらはすべて開業前に準備する必要があり、融資や自己資金によってまかなうことになります。

自己資金と融資のバランス

多くの医師が利用するのが、日本政策金融公庫や民間銀行からの融資です。自己資金としては全体費用の20〜30%程度を用意するのが望ましいとされており、それ以外は融資で補填するケースが一般的です。

ただし、金融機関によっては「自己資金が少ないと融資条件が不利になる」こともあるため、事前に資金計画を綿密に立て、融資相談も早めに行うことがポイントです。

 

2.クリニック開業費用の内訳を徹底解説

ここでは、開業時に必要となる費用の具体的な内訳をカテゴリごとに解説します。すべての費用が一律というわけではなく、開業する診療科目や立地、開業スタイルによっても金額は大きく変動します。

物件取得費(保証金・仲介料・家賃)

  • 保証金・敷金: 物件賃料の6〜12ヶ月分が目安。都心部ではより高額になることも。
  • 礼金・仲介手数料: 物件価格の1〜2ヶ月分が相場。
  • 前払い家賃: 契約時に数ヶ月分をまとめて支払うケースあり。

開業費用全体の10〜20%を占める場合が多く、立地が良い駅近物件ほど初期費用が高騰する傾向にあります。

内装工事費(設計・施工・設備導入)

  • 設計費・デザイン費: 専門性の高いクリニック内装は、坪単価5万円〜10万円前後。
  • 施工費: 電気・水道工事、耐震工事、空調設備なども含めると坪単価15〜25万円が目安。
  • 医療設備設置: 診療台、X線室など特殊な設備が必要な場合は別途加算されます。

一般的に20〜40坪のクリニックで1,000万〜2,000万円程度が相場です。科目によってはこれ以上になることも珍しくありません。

医療機器購入費(診療科目ごとの違い)

  • 基本備品: 診察台、血圧計、処置台、電子カルテ、レセコンなど。500万〜1,000万円程度。
  • 特殊機器: レントゲン(整形外科・内科)、耳内視鏡(耳鼻科)、眼底カメラ(眼科)など。1台あたり100万〜800万円以上になることも。

診療科目による差が最も大きい部分であり、費用の見積もり精度を高めるには、開業科目に精通した専門家のサポートが不可欠です。

開業前準備費(広告・採用・研修など)

  • 広告宣伝費: 看板、チラシ、WEBサイト制作費、SNS広告。50万〜200万円程度。
  • 採用・研修費: 人材紹介会社の手数料や研修会場費用などで50万〜100万円。

特に初月の集患が安定するかどうかは広告戦略に大きく依存するため、適切な予算配分が求められます。

運転資金(当面の家賃・人件費・薬剤費など)

  • 家賃・光熱費・通信費: 1ヶ月あたり30万〜50万円前後
  • 人件費(看護師・受付など): 月額60万〜100万円程度
  • 薬剤・医療消耗品: 月額10万〜30万円ほど

開業直後は売上が安定しないため、最低でも3〜6ヶ月分の運転資金(300万〜800万円程度)を事前に確保することが必要です。

 

3.診療科目別の費用相場と目安

同じ「クリニック開業」でも、診療科目によって必要な初期投資は大きく異なります。ここでは、代表的な診療科目ごとの費用目安を解説します。

内科・小児科の費用感

  • 内科: 約4,000万〜5,000万円が目安。必要な機器は比較的少ないが、X線や超音波導入で費用が増加。
  • 小児科: 内科と同様だが、キッズスペースやベビーベッドなどの設備投資が追加されることが多い。

比較的費用を抑えやすい診療科ですが、内装の清潔感や安心感、親子対応の動線設計などの工夫が必要です。

皮膚科・耳鼻科・眼科の特徴

  • 皮膚科: 約3,500万〜4,500万円が相場。診療スペースがコンパクトで済む場合が多く、費用はやや低め。
  • 耳鼻咽喉科: 4,500万〜5,500万円。耳内視鏡や吸引装置など特殊機器が必要。
  • 眼科: 4,000万〜6,000万円。スリットランプ、眼底カメラ、オートレフケラトメーターなど、高額な機器が多い。

これらの科目は診療スペースの効率設計や動線の工夫によってコスト削減が可能です。

整形外科・歯科など高額になりやすい診療科

  • 整形外科: 5,000万〜8,000万円。X線、MRI、運動療法スペースなどの導入で費用が大幅に増加。
  • 歯科: 5,000万〜7,000万円。チェアユニットやCT導入で1台ごとに数百万〜数千万円の投資が必要。

このような診療科目では、導入機器の精査とリース活用による費用調整が重要です。

検査設備や処置内容によるコスト差

同じ科目でも、診療の幅をどこまで広げるかによって大きく金額が変わります。
例えば内科であっても、内視鏡検査や心電図モニタリング、訪問診療用の車両などを導入する場合、+500万〜1,000万円単位で費用が上乗せされます。

 

4.費用を抑えるコツと注意点

開業費用はなるべく抑えたいものの、安易なコスト削減は失敗の原因にもなります。ここでは「削ってよい費用」と「削ってはいけない費用」を区別しながら、開業費用を無理なく抑える実践的な方法をご紹介します。

削れる費用と削ってはいけない費用

削れる可能性がある費用

  • 内装のデザイン性(過度な装飾や高級素材)
  • 医療機器の一部(中古品やリース活用)
  • WEB制作や広告費(SNSや無料ツール活用)
  • オフィス備品(最低限からスタート)

削ってはいけない費用

  • 安全に関わる設備工事(電気・水回り・耐震)
  • 医療機器の性能・精度
  • 採用費・研修費(スタッフの質に直結)
  • 運転資金(黒字化までの命綱)

「開業後に追加でかかると困る費用」は、最初にしっかり投資しておくことが重要です。

コストダウン例の紹介

内装費の見積もり比較

  • A設計会社:1,800万円 → B会社:1,450万円(内容同等)
  • 必ず2〜3社から見積もりを取り、内容の内訳も確認

医療機器のリース・中古活用

  • 新品購入:1,000万円 → 中古+リース活用:600万円
  • 消耗品系の補償があるかなど条件確認は必須

初期スタッフは最小限から開始

  • 受付兼医療事務1名+看護師1名 → 必要に応じて追加採用

現実的には、「一括見積もり・費用比較・信頼できる専門家のアドバイス」が、コストを抑える最大の鍵です。

 

5.資金調達方法の選び方と注意点

どんなに綿密な費用計画を立てても、実際に必要となるのは「資金調達」です。ここでは、クリニック開業で利用される代表的な資金調達方法とその注意点について解説します。

銀行融資と日本政策金融公庫の特徴

銀行融資

  • 大手銀行、地方銀行、信用金庫などが対応
  • 医師の信用力が高いため、比較的有利な条件で借りやすい
  • 金利:1.0〜2.0%前後(条件による)
  • 融資までに時間がかかることもある

日本政策金融公庫(国の融資機関)

  • 開業医支援に積極的
  • 金利:1.0〜1.5%前後と低め
  • 無担保融資も可能(条件あり)
  • 手続きがやや複雑で時間がかかる

どちらも併用することも可能ですが、必要書類(開業計画書・資金計画書など)をしっかり整えることが条件です。

リースやクレジットを活用する

医療機器のリース契約

  • 一括支払い不要で、月額分割払いが可能
  • コストを平準化でき、キャッシュフローが安定
  • 契約終了後の返却・買い取り条件を要確認

クレジット契約(割賦)

  • 医療機器や内装設備にも対応可能
  • リースと比較して所有権が開業医側に残る場合あり

リースやクレジットの活用は、「初期費用の圧縮手段として非常に有効」ですが、総支払額が高くなる傾向もあるため、長期的な損得計算を行うことが重要です。

自己資金をどう活かすか

  • 一般的には、総額の2割程度(1,000万〜1,500万円)を自己資金で用意するのが目安
  • 自己資金が多いほど、融資条件が有利になるケースが多い
  • 自己資金の使い方:不動産契約時の初期費用、医療機器の頭金、運転資金などに充当する

自己資金をすべて使い切ってしまうのではなく、「資金に余裕を持たせた状態での開業」が、想定外のトラブルへの備えにもなります。

 

6.開業後の支出と経営安定までの資金繰り

開業費用の準備だけで安心してはいけません。開業後も毎月の支出は継続して発生し、売上が安定するまでには時間がかかるため、事前に資金繰り計画を立てておくことが不可欠です。

月々のランニングコストとは

  • 家賃・共益費・駐車場代: 月額20〜50万円
  • 人件費(医療事務・看護師など): 月額60〜120万円
  • 薬剤・医療材料費: 月額10〜30万円
  • 光熱費・通信費・リース費用: 月額10〜20万円
  • 広告費(WEB広告・SEO対策など): 月額5〜10万円

これらを合計すると、毎月100万〜200万円以上の支出がかかるのが一般的です。

黒字化までの平均期間

  • 平均して6ヶ月〜1年程度で損益分岐点に達するクリニックが多い
  • 専門性が高く集患が難しい診療科目や、競合の多いエリアでは1年以上かかることも

そのため、開業前に少なくとも3〜6ヶ月分の運転資金を確保しておくことが鉄則です。

資金繰りに失敗しないための対策

  • 毎月のキャッシュフローをExcelなどで可視化する
  • 経理業務の外注やクラウド会計の導入
  • 医療経営に詳しい税理士との契約
  • 開業初期の支出削減(過剰なスタッフ配置・広告費などを抑制)

資金繰りに余裕がないと、本来かけるべき集患施策やスタッフ教育にも影響が出るため、経営基盤を安定させる準備が重要です。

 

7.【メディシーのサポート】費用面での開業支援内容

クリニックの開業には専門知識だけでなく、膨大な準備と判断が必要です。中でも費用面は、初めての開業医にとって特に大きな不安材料となります。メディシーでは、費用計画から運転資金確保、機器選定や見積もり交渉まで、総合的なサポートを行っています。

診療圏調査と立地選定による費用対効果の最適化

  • 開業エリアによっては、家賃に数十万円の差が生じるケースもあります。

  • メディシーでは、最新の統計データと実地調査をもとに、診療圏内の人口構成・競合状況を分析

  • それにより、費用対効果の高い物件選定が可能となり、初期費用を適正に抑えることができます。

医療機器・内装工事の見積もり精査

  • 複数の内装・機器業者と提携し、相見積もりの比較を代行

  • 内容の過不足や重複項目があれば、詳細に精査し、過剰支出を回避します。

  • たとえば、同じX線装置でも「中古+保守あり」か「新品+5年補償」かで費用が大きく異なるため、クリニックの診療方針に合った選択を提案します。

資金調達や融資支援もワンストップ対応

  • 銀行融資・日本政策金融公庫の申請支援、計画書作成のサポートを実施。

  • 「自己資金が少ない」「設備投資を大きくしたい」など、状況に応じた柔軟な資金調達計画を構築

  • 面談対策や収支予測の整備も可能なため、開業準備をトータルにサポートします。

クリニック開業で不安を抱えている先生方は、ぜひメディシーの無料開業相談をご活用ください。
医療開業に特化した専門家が、費用から戦略まで一貫して支援いたします。

8.まとめ|費用内訳を把握して、安心・確実な開業を

費用内訳を把握して、安心・確実な開業を

本記事では、費用の全体像から具体的な内訳、診療科目別の相場、資金調達の方法、費用削減の工夫まで、総合的に解説しました。

あらためて、重要なポイントをまとめると以下の通りです。

✔ 開業費用の総額と構成比を知る

  • 相場は4,000万〜6,000万円が中心。

  • 内訳は「物件取得」「内装工事」「医療機器」「広告・人件費」「運転資金」など多岐にわたる。

✔ 診療科目や立地によって費用は大きく変動

  • 皮膚科や内科は比較的低コスト、整形外科や歯科は高額になりやすい。

  • 駅近など好立地は家賃・保証金が高くなるが、集患にも有利。

✔ 自己資金と融資のバランスを考える

  • 自己資金の目安は全体の20~30%程度

  • 銀行、公庫、リースなど複数の手段を組み合わせると柔軟性が増す。

✔ コスト削減と必要投資のメリハリが重要

  • 安全性・性能に関わる部分は削らず、装飾や広告で柔軟に調整を。

✔ 専門家のサポートでトータルコストを最適化

  • 自力で全てをこなすより、経験豊富な開業支援会社の力を借りた方が効率的かつ安心

「開業したいが、費用面で二の足を踏んでいる」という方こそ、正確な内訳と適正相場を把握することで、次の一歩を踏み出す自信につながります
費用の不安を「知識」と「準備」で払拭し、理想のクリニックづくりを実現しましょう。

メディシーでは、診療圏調査から資金計画、施工・機器選定まで無料相談を受け付けています。
ご不安がある方はぜひ一度、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。