成功確率を最大化するクリニック開業

コラム

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クリニック開業のコスト削減術!開業前に心得よう

 

1.なぜコスト削減が重要なのか?|開業医の初期投資と経営リスク

クリニック開業は多くの医師にとって大きな夢であり、キャリアの集大成でもあります。しかしその一方で、開業には数千万円規模の初期投資が必要とされ、経営リスクも大きいのが実情です。特に開業後すぐに黒字化するケースは少なく、初期段階でのコスト管理が経営の安定に直結します。

開業にかかる平均費用の目安

診療科目や立地条件により異なりますが、一般的なクリニック開業にかかる費用は5,000万円〜8,000万円が目安とされています。主な内訳は以下の通りです。

  • 医療機器購入費: 1,000万〜2,000万円
  • 内装・設備工事費: 1,000万〜2,500万円
  • 賃貸保証金・敷金礼金: 500万〜1,000万円
  • 広告宣伝費: 200万〜500万円
  • 運転資金(人件費・家賃等): 1,000万〜1,500万円

これらを自己資金でまかなえるケースは少なく、金融機関からの借入を活用するケースが大半です。したがって、無駄なコストを削減する意識が重要になります。

資金繰りに失敗したケースから学ぶ

近年、開業からわずか数年で閉院するクリニックも珍しくありません。その多くが、初期投資の過剰や広告費・人件費のバランス崩壊など、「見通しの甘さ」が原因となっています。

開業当初からフルスペックの設備を導入したり、必要以上のスタッフを採用してしまうと、思うように患者数が増えなかった際に一気に赤字が膨らみます。スタート時は必要最小限で始め、段階的に拡充する姿勢が、結果として長く安定した経営に繋がります。

 

2.開業時に削減可能な主なコスト項目とは?

開業時に削減可能な主なコスト項目とは?

クリニック開業時には、さまざまなコストが発生しますが、中には工夫次第で削減できる項目も多く存在します。ここでは、主に見直すべき代表的な費用項目について解説します。

内装・設備投資費

院内の内装デザインや設備にこだわり過ぎると、費用がすぐに跳ね上がります。たとえば壁材や床材のグレード、間接照明などの設置は、患者満足度に必ずしも直結しない場合があります。清潔感と機能性を重視した設計に留めることで、初期費用を抑えることが可能です。

医療機器の導入費

開業当初からすべての医療機器をそろえる必要はありません。たとえば内科や皮膚科の場合、CTやMRIのような高額な機器は不要です。本当に必要な機器のみを選定し、リースや中古購入の活用も視野に入れましょう。

広告宣伝費・ホームページ制作費

チラシや看板、ウェブサイト制作にはそれなりのコストがかかりますが、すべてを高額な業者に依頼する必要はありません。自院のターゲット層に届く媒体に絞って投資することで、費用対効果を高められます。

人件費の初期バランス

開業時はフルタイムのスタッフを多数雇うよりも、最小限の人数でスタートし、患者数の増加に応じて段階的に増員していくのが理想です。パートや派遣を活用することで、柔軟な人員配置が可能になります。

開業支援コンサル・設計費など

開業支援業者や建築設計会社の選定も慎重に行いましょう。「開業一式パック」などの提案は一見便利に見えますが、相場以上の費用が含まれている場合もあるため、相見積もりの取得が重要です。

 

3.物件選定で差がつく!家賃・内装費を抑える工夫

物件選定は、コスト削減の第一歩です。立地・賃料・内装工事費は、開業後の経営に大きな影響を及ぼします。適切な物件選びと交渉術で、数百万円単位の差が生じることもあります。

立地選びと賃料相場の見極め方

駅近や人通りの多いエリアは集患効果が高い反面、賃料が高く、競争も激化します。一方、少し駅から離れたエリアでも、駐車場完備や住宅地へのアクセスが良ければ、安定した患者層を獲得できることも。診療圏調査を活用し、実際のニーズと競合状況を踏まえて判断することが重要です。

スケルトン物件 vs 居抜き物件の比較

スケルトン物件(内装が何もない状態)を選ぶと、設計の自由度は高い反面、内装費が高額になりがちです。対して、以前も医療機関だった居抜き物件であれば、設備の一部が使えるためコストを大幅に削減できる可能性があります。ただし、水回りや導線が自院の診療スタイルに合っているかどうかは事前に確認が必要です。

内装コストを左右する3つのポイント

  1. 設計者との打ち合わせ回数:繰り返すほど設計費がかさむ傾向に。
  2. 素材・仕上げの選定:高級素材より、清潔感のある実用素材で十分。
  3. 動線設計:スタッフの動きやすさと省スペース化がコストに直結。

 

4.医療機器・什器は「新品」が正解とは限らない

クリニックの開業準備において、大きなコストを占めるのが医療機器と院内什器の導入費です。診療科によって必要な機器は異なるものの、すべてを新品でそろえると数百万円単位の出費になることも。ここでは、コストを抑えるためのポイントを解説します。

リースと中古購入の使い分け

医療機器のリース

初期費用を抑え、最新機器を一定期間使えるのが魅力です。修理費やメンテナンス込みのプランもあり、導入時の資金繰りを柔軟にする手段として有効です。ただし長期的には総支払額が割高になるため、資金状況に応じて活用を検討しましょう。

中古医療機器の活用

使用頻度が高くない機器、またはモデルチェンジの影響が少ない機器は中古市場での購入が賢明です。動作保証や点検済みの製品を選べば、コストを抑えつつ安心して利用できます。

必要機器の優先順位づけでコストを管理

開業時に必要なすべての機器を揃えようとせず、「診療を行う上で必須の機器」と「今後導入を検討すべき機器」に分けて計画することが重要です。以下はその一例です。

 優先度 機器例(内科の場合)
ベッド、診察台、心電計、血圧計など
エコー、レントゲン
ホルター心電図、スパイロメータ

機器導入時に注意すべき落とし穴

不要なセット販売に注意

開業支援業者の中には、不要な機器を抱き合わせで販売するケースもあります。

メンテナンス契約の見直し

定期保守の契約内容が適切かどうかもコストに直結します。

電源・床荷重の確認

機器設置に伴う建物改修が発生すると、思わぬ出費になることも。

 

5.人件費の最適化|必要なスタッフ数と採用の工夫

人件費は開業後も継続してかかる固定費の代表格です。特に開業初期は患者数の見通しが立ちにくく、人員過多は経営を圧迫します。必要なスタッフ数と雇用形態の工夫で、無駄な支出を抑えましょう。

開業初期のスタッフ構成例

診療科や診療スタイルによって異なりますが、一般的な例としては以下のような構成が想定されます。

 職種 推奨人数(最小)
医療事務1〜2人
看護師1人
放射線技師等必要に応じて

※レセプト業務をアウトソーシングすることで、事務人員を抑えることも可能です。

パート・派遣活用のメリットと注意点

パートタイム採用は、費用を抑えながら業務のピーク時間帯に人員を集中できる利点があります。医療系派遣サービスを利用すれば、即戦力を確保でき、突発的な欠勤にも対応しやすくなります。

ただし、教育やマニュアル整備が不十分だと、スタッフ間の連携ミスが起きやすくなるため、業務フローの見える化が重要です。

SNSや自社採用ページを使った採用コスト削減法

求人広告に多額のコストをかけずとも、SNSやクリニック公式サイトを活用することで、低コストで人材募集が可能です。特に以下の施策が有効です。

  • Instagramで職場の雰囲気を発信
  • LINE公式アカウントで応募窓口を設置
  • ホームページ内に「採用ページ」を設置

近年では「働く環境が見える職場」を求める求職者も多く、ブランディングも採用コスト削減に寄与する時代です。

 

6.開業前の広告費はどこまで投資すべきか

新規開業クリニックにとって「集患」は大きな課題のひとつです。しかし、広告費をかければ患者が集まるわけではありません。費用対効果を重視し、広告戦略にも無駄のない設計が求められます。

チラシ・看板・ポスティングの費用対効果

紙媒体の広告は、開業エリア周辺の住民に直接訴求できる強みがありますが、費用対効果が見えにくい面もあります。

  • チラシ印刷・配布: 約5万〜15万円
  • 看板設置: 設置場所により20万〜100万円
  • 折込広告: 部数に応じて変動

予算が限られている場合は、新聞折込ではなく、手配りポスティングを活用することで、配布エリアを選定しやすくなります。

Web広告とSNSのコスパを比較

Google広告やSNS広告は、クリック課金型のため、費用対効果が明確で柔軟な運用が可能です。開業前のティザー広告としても有効で、エリア・年齢・性別などターゲティングが細かく設定できる点も強みです。

また、Web広告はアクセス解析により成果測定ができるため、次の集患戦略にも活かしやすくなります。

無料でできる集患施策の活用法

  • Googleビジネスプロフィール(旧:マイビジネス)登録
  • 地域ポータルサイトへの無料掲載
  • SNS(Instagram・LINE公式など)での地道な情報発信

これらは費用をかけずにできる対策であり、開業前から継続して運用することで認知度向上に寄与します。

 

7.経営の「見える化」で無駄な支出を防ぐ

コスト削減を進めるうえで欠かせないのが、「経営の見える化」です。日々の収支やコスト構造を正確に把握できなければ、改善の打ち手が見えてきません。特に開業初期は、売上よりも支出管理に重点を置くことが、健全なクリニック運営のカギとなります。

クラウド会計・収支管理ツールの活用

従来のような手書き帳簿やExcelでの管理では、集計ミスや確認の手間がかかり、リアルタイムな財務状況の把握が難しくなります。そこで近年注目されているのが、クラウド会計ソフトの活用です。

例えば、freee(フリー)・マネーフォワードクラウド・弥生会計オンラインなどのツールを使えば、銀行口座・クレジットカード・POSレジと連携し、日々の取引を自動記録できます。グラフやダッシュボード機能の活用で、月別の支出内訳や収支の傾向も一目瞭然です。

月次試算表で定期的に支出チェックを

会計ソフトでの記録だけで終わらせず、毎月の支出を振り返る「月次試算表」の作成と確認をルーチン化することが重要です。

  • 水道光熱費・人件費・医薬品費など、部門別・科目別に支出を分類し、過不足を見つける
  • 予算と実績の差異を把握し、異常な費用の増減を早期に察知

これを開業初期から行っておけば、「コストが膨らんでから慌てて削る」という事態を防げます。

削減すべきは「不要な固定費」

すぐに見直しやすい固定費として、以下のような項目が挙げられます。

  • 契約している複数のインターネット回線や電話回線
  • 過剰な清掃サービス・不要な保守契約
  • 使用頻度の少ないサブスクリプションサービス

これらを見直すだけでも、年間で数十万円の削減につながるケースも。定期的な棚卸しをルール化しましょう。

 

8.クリニック専門の支援サービスを賢く活用しよう

クリニック専門の支援サービスを賢く活用しよう

すべてを自力で行おうとすると、時間・労力だけでなく、結果的にコストが増大してしまうこともあります。そこで活用したいのが、クリニック開業支援に特化した専門サービスです。

自力 vs プロのサポート、どちらが得か?

「コスト削減=すべて自分でやる」ではありません。むしろ専門家を活用することで長期的に無駄を防ぐことが可能になります。

 項目 自力対応のデメリット 専門サービスの利点
診療圏調査公的データの見方が分からない最新の統計・AI分析で精度が高い
物件選定相場や条件の比較が難しい医療向け物件に強く、交渉力もある
設計・施工費用の妥当性が判断しにくい医療に特化した施工業者との提携で効率的
スタッフ採用時間・掲載費用がかかる医療専門の採用ノウハウがある

「メディシー」のような総合支援サービスの強み

メディシーは、成功確率を最大化するクリニック開業支援を掲げ、資金調達から人材採用、集患、物件紹介まで幅広くサポートを行っています。

  • 無駄な初期費用を削るコンサルティング力
    → 施主に寄り添った費用設計で、過剰投資を防止
  • 診療圏調査や物件選定の精度
    → 実績に基づいた土地選定で、長期安定経営を見据えた提案
  • 資金計画・融資支援の伴走型サポート
    → 融資先ごとの要件に対応し、スムーズな資金調達を実現

開業時の支援は「費用」ではなく、“投資”と捉えるべき領域です。

 

9.まとめ|削減すべきは「無駄」、削ってはいけない「投資」

クリニック開業時のコスト削減は、単なる節約術ではありません。限られた資金を「必要な部分に集中投資する」ための戦略的判断です。では、どのようにそのバランスを取れば良いのでしょうか。

削減すべきコストの特徴

  • 過剰な設備投資やインテリア装飾
  • 予測患者数に見合わないスタッフ採用
  • 不透明な見積もりによる業者発注
  • 効果測定できない広告・宣伝

これらは「自己満足」や「不安の過剰補填」に起因している場合が多く、経営的視点での見直しが必要です。

削ってはいけない投資の特徴

  • 開業地の診療圏調査や競合分析
  • 医療機器の安全性や操作性に関する部分
  • 人材育成・マニュアル整備
  • 資金調達や経営支援などのコンサルティング

これらはすべて、「患者満足度」や「経営の持続性」に直結する領域です。将来の利益を見越して、必要な支出にはしっかりと投資する判断が求められます。

クリニック開業の準備を始める方へ

コスト削減は、「最初の判断の積み重ね」で決まります。そして、それを成功に導くための伴走者として、メディシーの無料相談サービスをぜひご活用ください。

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