クリニック開業|必要なものは?備品リストや導入医療機器をご紹介
開業前に知っておきたい「必要なもの」とは?
クリニック開業を目前に控えた医師にとって、何が「本当に必要か」を見極めることは成功への第一歩です。診療に必要な医療機器から、日常業務を支える事務用品・ITシステム、さらには開業前後に必要な準備物まで、多岐にわたる項目を正確に把握する必要があります。
本記事では、「クリニック開業に必要なもの」を具体的にご紹介。備品リストや医療機器の例、導入時の注意点まで解説し、スムーズな開業準備をサポートします。
1.クリニック開業に必要なもの一覧|まずは全体像を把握しよう
クリニックを開業するにあたり必要となるものは、大きく以下の3つに分類されます。
- 医療機器(診療に直接関わる機器)
- 備品・什器(患者対応・事務作業などに使用)
- IT・システム関連(電子カルテ、レセコンなど)
これらの項目は診療科や経営方針により多少異なりますが、一般的な無床診療所で必要とされる構成としては、次のように分類されます。
医療機器
診察台、処置台、心電計、超音波診断装置、内視鏡装置(診療科による)
備品・什器
診察用椅子、待合室用ソファ、スリッパ、掲示板、ロッカー、事務机、収納棚など
IT・システム
電子カルテ、レセプトコンピューター、インターネット回線、Wi-Fiルーター、スキャナー、コピー機、電話機など
2.診療に不可欠な医療機器とは|診療科別に違いを理解しよう
近年では、画像診断装置の高性能化やポータブル化も進み、導入のハードルは下がりつつあります。たとえば、内科において超音波診断装置(エコー)は腹部・心臓・甲状腺などのスクリーニングに幅広く使用されており、在宅医療や訪問診療を視野に入れる場合にも不可欠な機器とされています。
また、耳鼻咽喉科や眼科では、細かな部位を確認するためのマイクロスコープやスリットランプの導入が必須であり、それぞれの分野に特化した製品を選定する必要があります。
導入前には以下の3点を必ず確認しましょう。
- 設置面積とコンセント容量
- 放射線使用有無に伴う法令上の届け出
- 保守対応の有無・契約範囲
医療機器は「診療科によって異なる」
医療機器の選定は診療科ごとに大きく異なります。たとえば、内科と皮膚科では使用する機器の内容や価格帯もまったく異なります。
診療科 | 主な導入機器例 |
---|---|
内科 | 心電計、血圧計、ホルター心電図、エコー装置など |
小児科 | 体温計、聴診器、ワクチン保冷庫、吸引器など |
皮膚科 | ダーモスコープ、紫外線治療器、冷凍凝固装置など |
整形外科 | X線撮影装置、超音波診断装置、牽引装置など |
機器導入時の注意点
- 保守契約の確認: X線装置などは保守・点検が義務付けられています。
- 搬入経路・設置スペース: 大型機器は搬入経路や床荷重の確認が必要です。
- 医療法・電波法などの規制: 特定機器には届出や設置条件があるため、確認を怠らないようにしましょう。
3.備品・家具・什器の選び方|見落としがちな項目にも注意
業務効率と患者満足を支える備品選定
備品や家具類は、医療行為とは直接関係しないものの、患者満足度や業務効率に大きな影響を与える要素です。忘れがちな備品も多く、抜け漏れを防ぐためにもチェックリスト化が重要です。
基本備品リスト(一部抜粋)
カテゴリ | 備品例 |
---|---|
受付・会計 | 受付カウンター、つり銭機、番号札、電話機、プリンター |
診察室 | デスク、椅子、診察用ベッド、パソコン、バイタルチェック機器 |
待合室 | ソファ、テレビ、雑誌棚、空気清浄機 |
トイレ・清掃 | ペーパータオル、手指消毒液、清掃用具一式 |
備品選定のポイント
- 安全性(とがり・転倒防止)
- 衛生管理(抗菌素材、清掃のしやすさ)
- メンテナンス性(耐久性、修理のしやすさ)
バリアフリーや感染対策の観点から「自動ドア」「非接触水栓」などの導入も検討されるケースが増えています。
さらに、患者視点で見落とされがちな要素に「音」や「照明」があります。たとえば、患者の不安を和らげるために静音設計の空調・BGMシステムの導入も効果的です。また、照明についても「手元の明るさ」と「待合室の落ち着き」のバランスを取る必要があります。
感染対策や患者満足度向上の観点から、ぜひ導入検討いただきたいアイテムです。
4.ITツール・システムはどう選ぶ?|電子カルテ・レセコンの違いと導入のコツ
電子カルテとレセプトコンピューターの違い
クリニックの業務を効率化する上で、電子カルテとレセプトコンピューター(レセコン)の導入は欠かせません。両者は混同されやすいですが、それぞれ異なる役割を持ちます。
項目 | 電子カルテ | レセプトコンピューター |
---|---|---|
目的 | 診療情報の記録・管理 | 診療報酬請求(レセプト作成) |
機能 | 問診、所見、処方、検査記録など | 保険請求、点数算定、伝送処理など |
提供形態 | クラウド型またはオンプレミス型 | クラウド型またはオンプレミス型 |
電子カルテには、レセコンと連携できる製品が多く、導入前には相互の互換性を確認することが重要です。
導入時に検討すべきポイント
- クラウド型かオンプレミス型か:導入費用や保守の手間、災害対策などで差があります。
- 使い勝手とサポート体制:医師やスタッフが直感的に操作できるか、問い合わせ時の対応は迅速か。
- 将来的な拡張性:予約システムや問診システムと連携可能かなども重要です。
なお、電子カルテ・レセコンともに診療科特化型製品が存在します。たとえば、皮膚科向けには画像管理機能が充実していたり、整形外科向けにはリハビリ対応のレセプト作成に強みがある製品もあります。
IT環境整備は、スタッフの業務負荷軽減にも直結します。問診アプリや予約管理システムのような周辺システムとの連携機能の有無も重要な判断軸です。
レセコン・電子カルテにまつわる関連記事
5.見落としがちな開業準備品|衛生・安全対策や法令対応
感染症対策・災害対策備品も必須
近年の医療現場では、院内感染防止や災害対応の観点から、下記のような備品も導入が推奨されています。
感染対策の備品例
- 非接触型体温計
- アルコール消毒液・ディスペンサー
- マスク
- アクリルパーテーション(受付など)
災害時備品例
- 非常用電源(ポータブル電源など)
- 飲料水・保存食・防寒グッズ
- 災害用トイレ
- 通信手段(モバイルWi-Fi、衛星電話など)
開業時の内装設計段階で、非常口・消火器設置や避難経路表示も法律で定められており、保健所の開設許可申請にも関わる重要な要素です。
その他、常時換気設備の設置・トイレの設置なども、対象となる都道府県ごとに定められている内容や、保健所に確認を取るとよいです。
6.初期費用とランニングコストの管理|必要なものは予算にどう影響する?
初期費用
クリニック開業における必要なものをそろえるためには、それなりの初期費用が必要となります。医療機器や備品のみではなく、開業時には内装費・広告費・その他消耗品費なども発生します。
ランニングコストの発生も忘れずに
医療機器やITツールには、毎月の保守費用やクラウド利用料などが発生します。さらに、診療報酬の改定によっても影響を受けるため、初期費用だけでなく継続的なコスト見積もりが不可欠です。
コスト管理のポイント
- 導入時は「リース」や「中古品活用」も検討
- 導入後のサポートやアップデート費用も考慮
- 複数業者から見積もりを取り、比較検討すること
7.クリニック開業で「購入するもの」と「リース・外注するもの」の判断基準
購入・リース・外注のメリットと注意点
クリニック開業において必要なものをすべて「購入」するのは現実的ではありません。初期投資を抑えるため、医療機器や事務機器などはリース契約やサービス外注を活用するケースも一般的です。
医療機器のなかでも、特に高額機器であったり新モデルが一定のサイクルで出てくるような機器は、都度購入するよりもリースのほうがよいでしょう。ただし、途中解約ができないなどの制約がある可能性を考慮し、慎重に選定が必要です。
契約時の注意点
- 医療機器リース契約には保守契約が含まれているかを確認
- クラウド型システムの利用規約・サポート体制の明記を確認
- 外注業者の認可番号・実績・契約形態を要チェック
コストを抑える一方で、「保守対応の遅さ」「契約終了後の機器返却負担」などのデメリットもあるため、契約内容の比較検討が重要です。
8.診療科ごとに異なる必要機器・備品の例|内科・皮膚科・整形外科など
各診療科で異なる設備・機器
診療科ごとに優先度や内容が大きく異なります。ここでは主要診療科を取り上げ、導入が一般的な医療機器や備品を紹介します。
内科
心電計、血圧脈波検査装置、血糖測定器、エコー
処置用ベッド、感染症対策用パーテーション
皮膚科
ダーモスコープ、液体窒素スプレー、紫外線治療器(ナローバンドUVB等)
顔面撮影用ライト、皮膚画像管理用のPC
整形外科
X線撮影装置、骨密度測定装置、干渉電流型低周波治療器
リハビリベッド、牽引装置、ギプスカッター
小児科
吸引器、経皮的酸素飽和度測定器(SpO2)、乳児体重計
予防接種用冷蔵庫(ワクチン管理)、絵本や玩具の設置
診療内容によって、必要機器の電源容量や設置条件、法令制限も異なるため、医療機器販売業者との個別相談が望ましいです。
9.まとめ|開業準備は「必要なものの見える化」から始めよう
クリニック開業において、何が必要かを正しく把握し、漏れなく準備することは、スムーズな運営と患者満足度向上の第一歩です。本記事でご紹介したように、必要なものは医療機器・備品・ITシステム・安全衛生設備など多岐にわたります。
とくに以下の3点を軸に、開業準備を進めていくことが成功の鍵となります。
- 診療科・診療方針に応じた「必要なものリスト」を作成
- 費用・保守・契約形態を含めて調達手段(購入/リース/外注)を明確にする
- 法令基準や設置条件を確認し、公的機関と連携して進める
開業支援ならメディシーへ|無料相談はこちらから
メディシーでは、物件探しから開業後のフォローまでを一貫して支援する「ワンストップ型」のクリニック開業支援を提供しています。
これまで多数のクリニック開業を支援してきた実績をもとに、個別状況に応じた最適なアドバイスを行っています。初期構想から開業後の運営まで、すべてのフェーズで伴走支援が可能です。
「どこに相談すればいいか分からない」「本業が忙しくて準備が進まない」「立地選定に自信がない」「機器の選び方がわからない」「資金計画が不安」…
そんな方は、まずは無料相談から始めてみてください。
一人で悩まないことも重要です。信頼できるパートナーとともに計画を立てることで、開業成功率は格段に高まります。
診療圏調査と立地選定
開業地の選定は、将来にわたって患者数を左右する重要なポイントです。 将来的な集患を見据えたエリア調査を実施し、競合状況や人口動態を分析。最適な立地選びをサポートします。
資金調達・事業計画支援
収支シミュレーションを含む事業計画の策定から、銀行融資や助成金の相談対応まで、安心してスタートできる体制を整えます。
建築相談
クリニックの理念やコンセプトに基づいた、内装プラン・レイアウトの提案ができる、医療機関を中心に手掛けている業者をご紹介いたします。
専門業者であるので、患者様やスタッフの導線を考えたレイアウトになり、居心地のよい・仕事の効率のよい理想のクリニックができあがります。
広告
医療機関の広告は、医療法などの規制を受けており、内容についても保健所などから指導があります。しかし、クリニックの存在を地域の方々に認知していただかないと、集患に繋がらないので、開業時の広告は必須です。
広告宣伝の方法もパンフレット・チラシ・駅看板や電柱広告など多岐に渡りますが、その中でもホームページは、医院側から情報発信できる有効な広告媒体なので、ホームページの開設はおすすめしております。
各種手続き・スタッフ採用・開業後のサポートも万全
保健所や医師会への開設申請、就業規則や社会保険手続き、スタッフ採用の支援に加え、開業後の増患対策や運営改善まで丁寧にフォローします。
あなたのビジョンと熱意を、現実の成功へと変えるために。
未来の理想的なクリニックづくりを、メディシーが全力でサポートいたします。