
クリニック承継か、ゼロからの開業|メリットデメリットを紹介
「レセコン」とは、「レセプトコンピュータ」の略称で、診療報酬明細書(レセプト)の作成を支援する専用システムです。診療報酬明細書(レセプト)は、健康保険組合などの保険者に提出する請求書で、診療内容に基づいて報酬を得るための重要な書類です。
レセコンには、以下のような機能が備わっています。
これらの業務を手作業で行うと膨大な時間と労力がかかりますが、レセコンを導入することで、短時間で正確な請求処理が可能となります。
厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」では、診療報酬請求業務の電子化を推奨しており、レセコンはその中核的な役割を担っています。
現在では、全国のクリニックや病院の大多数がレセコンを導入しており、特に新規開業の医療機関にとっては「導入していて当たり前」と言っても過言ではありません。未導入の場合、作業の属人化やヒューマンエラーのリスクが高まるため、開業初期からの導入が強く推奨されます。
「レセコン」と「電子カルテ」は混同されがちですが、役割は明確に異なります。
システム | 主な役割 |
---|---|
レセコン | 診療報酬請求(レセプト作成・請求業務) |
電子カルテ | 診療記録の作成・保存(診療情報の管理) |
レセコンは主に事務業務を効率化し、電子カルテは医療行為の記録を支援します。つまり、双方は別機能でありながら、連携することで大きな相乗効果を発揮します。
電子カルテとレセコンを連携させることで、以下のような効率化が図れます。
近年では、電子カルテとレセコンが一体となった「統合型システム」も増えており、導入時の初期構築の負担も軽減されています。特にITに不慣れな院長にとって、ワンストップでのサポートは導入の障壁を下げる要因となっています。
レセコン最大の利点は、診療報酬請求業務の大幅な効率化です。手書きやExcelベースでの請求処理と比べて、レセコンでは以下の点で大きく作業が短縮されます。
こうした機能により、医療事務スタッフの負担を軽減し、他の業務に時間を充てられるようになります。
紙カルテや手計算による請求処理は、ヒューマンエラーの温床となります。特に以下のようなミスが多く見られます。
レセコンでは、診療行為ごとの点数ルールや算定条件があらかじめ組み込まれており、ミスを自動で検出・警告する機能が標準装備されています。
その結果、レセプトの返戻(修正依頼)の回数が減少し、安定した収入管理が可能になります。
レセコンを導入する際には、事前の検討が不可欠です。以下のようなポイントを把握し、失敗のない導入につなげましょう。
特に開業初期は診療業務以外にもやることが多いため、サポートの手厚さは見落とせない要素です。
レセコン導入は、以下のようなステップで進めるのが一般的です。
とくにスタッフへの事前研修やマニュアル整備は重要です。運用に慣れるまでの初期数か月は、操作の問い合わせやエラー対応が頻発することを想定しておきましょう。
レセコンには主に「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
クラウド型 | インターネット経由で利用 | 導入コストが安く、遠隔対応可 | 通信環境に依存 |
オンプレミス型 | 院内サーバーにインストール | カスタマイズ性・安定性が高い | 初期費用と保守費が高い |
現在ではクラウド型の導入も増えてきており、月額定額で常に最新版を使える点が評価されています。
製品選定の際には、以下の項目を総合的に比較することが重要です。
これらは公式サイトだけではわかりづらいため、デモ体験や既導入医師のレビューも参考にしましょう。
レセコンと電子カルテを別々に導入するよりも、「一体型システム」を選ぶケースが増えています。理由は以下の通りです。
一体型にすることで、開業初期の業務立ち上げの煩雑さを軽減できる反面、導入後の変更が難しいため、選定時には慎重な検討が求められます。
たとえば、以下のような活用がされています。
これにより、日々の診療・請求業務を一気通貫で完了できる体制が整い、開業医にとっては大きな安心材料となります。
日本国内で利用されている主要なレセコンメーカーは以下の通りです。いずれもクリニック開業に対応しており、電子カルテとの連携や一体型サービスを展開しています。
提供元 | 製品名 | 提供形態 | 初期費用 | サポート体制 | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|---|
日本医師会ORCA管理機構 | 日医標準レセプトソフト(日レセ) | オンプレ/クラウド(WebORCA) | ソフト本体は無償(導入支援は有償) | 認定事業所による有償サポート | オープンソース。保険制度の変更対応が迅速。 |
PHCホールディングス | Medicom‑HRf Hybrid Cloud | ハイブリッド(オンプレ+クラウド) | 要問い合わせ(構成により変動) | 全国157拠点超の支援体制 | 診療所向け。安定性とクラウド柔軟性の両立。 |
メドレー | CLINICSカルテ | クラウド型 (レセコン一体型) | 要問い合わせ | 専門のスタッフ在籍。往訪サポート(有料)もあり | 電子カルテと一貫性のある操作性を実現。 |
M3デジカル | M3 DigiKar(レセコン単体) | クラウド型 | 無料(レセコン単体利用) | 操作サポート・体験アカウントあり | カルテ一体型・ORCA連携型・レセコン単体プランあり |
EMシステムズ | MAPs for CLINIC | クラウド/オフライン併用 | 初期費用なし(プランによる) | 訪問・電話サポートなどあり | クラウド主体でもネット障害時にオフライン可。 |
各メーカーによりサポート体制や連携可能システムが異なるため、「自院の診療スタイル」に適したものを選ぶことが重要です。
レセコン導入にかかる費用は、クラウド型とオンプレミス型で大きく異なります。クラウド型では初期費用が抑えられ、月額制で始めやすい一方、長期的に見るとコストがかさむ場合もあります。
また、導入後にアップデートや制度変更に対応する費用が発生するケースもあるため、トータルコストでの比較が大切です。
以下のような観点からコスト管理を行うと、運営の安定化に役立ちます。
また、導入に際してはIT導入補助金の対象となる可能性もあるため、事前に専門家へ相談することも検討すべきです。
レセコン(レセプトコンピュータ)は、単なる請求ソフトではなく、クリニック経営の根幹を支える重要な基幹システムです。保険診療を行う医療機関にとって、日々の診療内容を正確に収益に変えるための仕組みは欠かせず、レセコンの質と運用体制がクリニックの安定経営を大きく左右します。
特に開業直後は、以下のような場面でレセコンの選定が結果に直結します。
近年では、レセコンは単体で導入するよりも、電子カルテとの一体型クラウドシステムやハイブリッド型(オンプレ+クラウド)として運用されるケースが増えており、製品選定には価格だけでなく、将来の拡張性や運用スタイルへの適合性も重要な視点となっています。
そのため、導入前には必ず複数製品の比較検討を行い、できればデモ体験や他院の使用事例なども参考にしながら、自院にとって最適なレセコンを選ぶことが求められます。
また、信頼できる医療系ITベンダーや開業支援パートナーと連携し、サポート体制を含めた導入体験をスムーズにすることも、経営初期の負担軽減につながります。
クリニックの成長と継続性を支えるインフラとして、レセコンは一度選んで終わりではありません。
制度変更や診療ニーズの変化に柔軟に対応できるシステムを選定し、長期的な視点での運用を見据えて準備を進めましょう。
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