
集患マーケティング!クリニックが患者数を増やすための基本戦略10選
はじめに|クリニック運営における「集患」の重要性
クリニック経営において最も基本かつ重要な課題、それが「集患(しゅうかん)」です。どれだけ医療の質が高くても、来院する患者数が伸び悩んでいては経営の安定は望めません。
現在は少子高齢化、地域医療の再編、競合クリニックの増加などにより、患者の確保はますます難しくなっています。そんな中、注目を集めているのが“マーケティング思考”に基づいた集患戦略です。
この記事では、クリニックが患者数を増やすために今すぐ実践できるマーケティング戦略を10の基本項目に分けて解説します。SNSやWebサイトの活用から、院内体制の見直しまで、幅広い角度からご紹介します。
1.診療圏調査を活用して最適な立地戦略を立てる
なぜ診療圏調査が必要なのか?
開業や移転を検討する際には、まず診療圏調査を行うことが重要です。これは、ある地点におけるターゲット患者の人口、競合施設数、交通アクセス、生活動線などを可視化し、「どこに開業すれば勝てるか」を定量的に判断する手法です。
集患に直結する立地選びの視点
たとえば小児科であれば、若年ファミリー層が多いエリアで保育園・小学校に近い立地が望ましく、整形外科であれば高齢者が多い住宅街やリハビリ施設が集まる地域が効果的です。
- 近隣の人口動態(年齢層・世帯構成など)
- 駅やバス停からのアクセス利便性
- 商業施設や学校の近接性
- 周辺のクリニックや病院の診療科・評判
診療圏調査を行うことで、開業後の集患力に大きな差が生まれます。実際、患者数が安定しているクリニックの多くは、開業前に詳細な立地分析を行っている傾向があります。
2.Webサイトを“見つけてもらう”設計にする
SEO対策の基本
多くの患者は「地域名+診療科目」で検索をしてクリニックを探しています。つまり、「○○市 内科」「○○駅 皮膚科」といったキーワードで検索上位に表示されることが、集患の起点になります。
そのためには、下記対策が必要です。
- Google検索で上位表示されるようタイトル・見出しを最適化
- 専門ページやFAQ、コラム記事を充実させる
- スマホでも見やすいレスポンシブデザイン
ホームページの構成例
- 診療内容・対応疾患を丁寧に記載
- 院長あいさつや経歴紹介で信頼を形成
- スタッフ紹介で親しみを持たせる
- 予約ボタンや地図アクセスを目立たせる
ホームページは“クリニックの顔”です。
読みやすい文章構成、目を引くビジュアル、ページの表示速度の改善なども、ユーザーの離脱を防ぐ重要な要素です。Webサイトは単なる情報提供ツールではなく、患者との最初の接点であり、信頼の入口です。
3.Googleマップと口コミサイトを活用する
Googleビジネスプロフィールの最適化
Googleマップで検索した際に表示される「Googleビジネスプロフィール」は、来院するかどうかを左右する重要な情報源です。営業時間、住所、電話番号、写真、口コミなどが表示され、これが実質的な“店舗の顔”となります。
- 正確な診療時間や休診日を掲載
- 院内の写真や外観写真を複数掲載
- 駐車場・バリアフリー対応なども記載
- 定期的に投稿(お知らせ、季節の挨拶など)
良質な口コミが集患力を高める
口コミの数や内容は、患者がクリニックを選ぶ際の決め手となります。スタッフの対応や院内の清潔さ、待ち時間の管理などに関するポジティブな口コミがあると、新規患者は安心して受診できます。
口コミを集めるためには…
- 診療後に「ご協力いただけたら嬉しいです」と声かけ
- QRコードを印刷して受付や待合室に設置
- 定期的にスタッフミーティングで顧客対応を共有
悪い口コミが投稿された場合も、冷静で誠実な返信をすることで、他の閲覧者からの信頼を得ることができます。
Googleマップと口コミ対策は、Web戦略の中でも“費用をかけずに始められる”即効性のある集患方法の一つです。
4.SNSを活用したクリニック集患戦略
SNSは“人柄”と“雰囲気”を伝える最良の手段
SNS(Instagram、LINE、X〈旧Twitter〉、TikTokなど)は、クリニックの雰囲気やスタッフの人柄、日々の取り組みを発信できる場です。特にInstagramは写真中心のため、院内の清潔さや温かさを視覚的に伝えることができ、患者に安心感を与えます。
患者との接点を増やす投稿例
- 院内イベントのお知らせ
- 季節性の疾患(花粉症や熱中症など)の啓発
- 院長・スタッフの紹介や一言コメント
- 診療時間の変更や臨時休診の告知
投稿は“日常感”が重要です。専門的な内容だけでなく、患者とのコミュニケーションが生まれるような投稿が共感を呼びます。
SNS集患における注意点
医療広告ガイドラインに反しないよう、効果を強調する文言やビフォーアフター写真の使用には注意が必要です。また、患者の個人情報保護にも十分配慮しなければなりません。
SNSは無料かつ即効性がある一方で、運用には継続性と戦略性が必要です。ターゲット層(高齢者向け、子育て世代向けなど)を意識し、投稿内容を調整しましょう。
5.地域連携と紹介ネットワークの強化
医療機関同士の信頼関係が新規患者を生む
集患マーケティングにおいて、地域の他医療機関との連携は見逃せない要素です。特に専門性の高い診療科や、検査設備を備えているクリニックは、他院からの紹介による患者増加が見込めます。
- 地域の内科医院と連携して専門診療を受け入れる
- リハビリや整形外科から皮膚科・眼科などへの紹介
- 入院設備がある病院との逆紹介ルートの構築
定期的に紹介元の医師と情報交換を行ったり、診療報告書を迅速かつ丁寧に返すことが、信頼関係の構築につながります。
医師会・地域団体・介護施設との接点を持つ
医師会への参加、地域の介護施設や保健所とのつながり、商工会などとの情報交換も、間接的にクリニックの認知と信頼を高めます。
(例)
- 地域の健康講座や学校検診への協力
- ケアマネジャー向けの医療説明会
- 近隣薬局との服薬フォロー連携
これらの活動は患者の安心感を高め、地域で選ばれる“かかりつけ医”としての存在感を高めます。
成功事例
ある内科クリニックでは、近隣の整形外科と定期的に紹介ルールを共有し、両院で連携してフレイル対策に取り組んだ結果、1年で紹介患者が30%増加しました。このような具体的連携は、地域の医療課題解決にもつながり、社会的評価も得られます。
6.院内体制の見直しでリピート率を高める
一度来た患者に“また来たい”と思わせる仕組みづくり
新規患者の獲得は重要ですが、それと同じかそれ以上に大切なのが「既存患者の再来院率の向上」です。患者の継続受診が安定した経営基盤を築くための鍵となります。
- 受付・電話対応の丁寧さ
- 待ち時間の管理と明確な説明
- 診察後のフォロー(説明資料や次回予約)
- スタッフ全員のホスピタリティ教育
たとえば、ある皮膚科では初診時に簡単な説明カードを渡すことで「自分に合わせて対応してくれている」と感じる患者が増え、口コミの評価も向上しました。
院内の業務効率化も再来院につながる
診療の効率が悪い、会計で待たされる、予約が取りにくい……。こうした問題は患者の離脱要因になります。診療フローの見直しや、電子カルテ・予約システムの導入により、スムーズな診療体験を提供しましょう。
また、医療事務スタッフや看護師との連携を高めることで、患者との接点が増え、満足度向上にもつながります。
7.患者視点の情報発信で“信頼”を得る
Web・SNS・紙媒体での発信すべてに“視点”が必要
患者は“医療の専門家”ではなく、常に不安や疑問を抱えてクリニックにアクセスします。だからこそ、発信する内容は「患者の不安を解消し、信頼を得る」ことを第一に設計する必要があります。
- よくある症状に対する解説記事(例:花粉症の対処法)
- 季節ごとの注意喚起(熱中症、インフルエンザなど)
- 診療の流れや費用に関する分かりやすい案内
- スタッフや院長の人柄が伝わるコラム
誰に届けたいかを明確にする
情報発信の効果を高めるには、ターゲット設定も重要です。
- 子育て世代→Instagram、LINE
- 高齢者層→紙媒体、ホームページ
- 就労世代→Google検索やWeb広告
たとえば、産婦人科がInstagramで“妊婦健診の流れ”を紹介したところ、初診前の不安が解消されたという声が多く寄せられ、予約率の向上につながったという例もあります。
患者の目線に立った情報発信は、集患だけでなく、患者との関係性構築にも大きく貢献します。
8.Web広告・紙広告の活用法
低予算から始められる広告手法を選ぶ
多くの開業医が抱える悩みは「広告にどこまでお金をかけてよいか分からない」という点です。しかし、今では比較的少額でも成果が見込める広告手法が多数存在します。
- Google広告(検索連動型)
- SNS広告(Instagram・LINE・Facebook)
- 地域密着型の紙媒体(フリーペーパー・地域新聞)
- 駅やバス内広告
たとえば、「○○駅 徒歩3分、○○内科クリニック」のような地名+診療科の広告は、検索意図の明確な患者層にダイレクトに届きます。
効果測定とPDCAサイクルが鍵
広告は出して終わりではありません。Google広告やSNS広告ではクリック数や成約率を測定できるため、配信エリアやクリエイティブの改善を繰り返すことで費用対効果を高めることが可能です。
また、紙媒体も「この記事を見た方に粗品プレゼント」などの反応が計測できる仕組みを入れて、成果を可視化しましょう。
9.医療広告ガイドラインと法的配慮
SNSや広告には法律・規制がある
クリニックの情報発信には、「医療広告ガイドライン」に基づいた表現が求められます。違反した場合、是正指導やペナルティの対象になる可能性もあるため、内容には慎重な配慮が必要です。
特に注意が必要な例
- 治療効果を断定的に表現する(例:「確実に治ります」「○回で完治」など)
- 患者の体験談を許可なく掲載する
- Before/Afterの写真を根拠なく用いる
- 自由診療の費用表示が不明瞭
クリニックスタッフの投稿も対象に
院長やスタッフがSNSで個人的に発信する内容も、場合によっては医療広告と見なされる可能性があります。すべての関係者に対してガイドラインの共有・研修を行うことが望ましいでしょう。
法的な不安を解消するために
- 表現内容は常に第三者の視点でチェック
- 気になる箇所は弁護士や専門家に相談
- 厚労省の資料や医師会の指針を確認
信頼を得るためには、正しい情報発信が不可欠です。マーケティングと法令順守は両立可能ですので、知識を持って取り組みましょう。
10.マーケティングチームと運用体制の整備
院内に“マーケティング視点”を持つ人材を育てる
戦略を立てても、それを実行・改善する体制が整っていなければ集患の成果は得られません。クリニックにおいても、スタッフがマーケティングの視点を持つことが求められています。
- 医療事務に広報・SNS担当の役割を加える
- 看護師や受付スタッフも情報発信を意識
- 月1回のマーケティングミーティングで改善点を共有
また、データをもとに振り返りを行う習慣も大切です。GoogleアナリティクスやSNSのインサイト機能を活用し、「どの施策が患者に届いたのか」を可視化しましょう。
外部の力を借りて効率的に進める方法も
マーケティングに割けるリソースが足りない場合、外部の支援を受けるのもひとつの選択肢です。
- Web制作やSEOに強い制作会社にホームページ運用を依頼
- SNS運用代行やコンサルティング会社と提携
- 地域広告に強い代理店と連携
ただし、外注に頼る際も“戦略の軸”はクリニック側で明確に持つことが重要です。目的やターゲットをしっかりと伝え、定期的な打ち合わせで方向性をすり合わせましょう。
まとめ|患者に選ばれるクリニックへ——明日から始められる集患戦略
ここまで、クリニックが患者数を増やすための集患マーケティング戦略を10項目にわたって紹介してきました。どれも大掛かりな予算を必要とせず、明日から実践できる内容ばかりです。
- エリアに合った診療圏分析
- 見つけてもらえるWebサイト設計
- SNSを活用した継続的発信
- 患者目線の丁寧な対応とフォロー
これらを一つひとつ積み重ねることで、患者との信頼関係が生まれ、選ばれるクリニックへと成長していきます。
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