クリニック開業するのは何月がよい？最適な季節はあるの？

1. なぜ「開業時期」が重要なのか

クリニック開業を検討する際、多くの医師が「立地」「資金計画」「診療圏調査」などに意識を集中させます。しかし実際には「開業時期」をどう設定するかも、経営の初動に大きな影響を与えます。

例えば、春は新生活や花粉症需要により患者数が増えやすく、秋はインフルエンザ流行に合わせて集患のチャンスが広がります。ですが、準備不足のまま繁忙期に開業すると、「第一印象でマイナス」を与えるリスクもあります。

また、季節によって人材採用の動きも異なります。4月・10月は転職や新規就職のタイミングが集中するため、スタッフを確保しやすい時期です。こうした外部要因を理解し、「開業月をいつに設定するか」を戦略的に考えることで、初年度の安定経営に大きな差が生まれます。

2. 診療科別に見る、最適な「開業時期」

春夏秋冬を表した写真

どの季節（春夏秋冬）、何月にクリニックを開業するとよいのか？について、考えていきましょう。各科目ごとに繁忙期がありますが、繁忙期真っただ中に開業するとスタッフがまだ慣れておらずそこから患者対応がおろそかになるなど、様々な混乱を招きかねません。患者様の信頼を失わないため、スタッフのためにも、理想は繁忙期より少し前に開業できると安心です。

春（3〜5月）の開業メリット

春はクリニック開業において特に人気の時期です。

花粉症・アレルギー疾患の増加

耳鼻咽喉科やアレルギー科を開業する場合、春に合わせることで多くの新患が訪れやすくなります。ですが、繁忙期と開業が完全に重なってしまうことのリスクを考えると、1～2か月前から開業できるとよいでしょう。

新学期・新生活の時期

進学や転勤といったライフイベントにより新しい患者層が流入する点です。新生活に合わせてかかりつけ医を探す人も一定数出てくるため、地域での認知を得やすいのが特徴です。

スタッフ採用がしやすい時期

さらに、4月は医療従事者の転職が活発なタイミングであり、スタッフ採用面でも有利に働きます。開業と同時に安定した人材確保が可能になる点も春の強みです。

夏（6〜8月）の開業メリット

夏は感染症や消化器疾患が増える時期です。特に小児科では手足口病やプール熱などが流行し、開業直後でも新規患者を得やすい環境があります。加えて、胃腸炎や食中毒といった消化器症状も増えるため、内科・消化器内科にとっては立ち上がりやすい時期と言えます。

ただし、夏はお盆休みや帰省シーズンと重なるため、地域差が大きいのも事実です。地域特性を踏まえた診療圏調査が欠かせません。

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秋（9〜11月）の開業メリット

秋は気温差やインフルエンザ流行の兆しから、内科や呼吸器内科にとって集患しやすい季節です。また、予防接種のニーズが高まるため、短期間で患者数を伸ばすチャンスがあります。

さらに秋は、猛暑や繁忙期を避けて内覧会を行える時期でもあります。来院者が足を運びやすい気候条件も整い、地域に存在を知ってもらうのに適しています。歯科でも、春と秋は内覧会の集客がしやすい傾向があるとされます。

冬（12〜2月）の開業メリット

冬は風邪やインフルエンザなどの感染症が増える季節であり、内科系クリニックにとって需要が高まります。特に年末から新年にかけては医療機関の受診ニーズが強く、立ち上がりが比較的スムーズです。ですが、12月の開業を考えている方は、開業とともに年末の繁忙期を迎えることになるので、余裕を持ちたい場合は1～2か月前に開業できるとよいでしょう。

また、精神科や心療内科にとっても冬は需要が高まる時期です。日照時間の減少や年末年始のストレスなどにより、心身の不調を訴える人が増えるためです。

3. 開業2〜3か月前に準備を仕上げる

クリニック開業の準備は、物件探しや資金調達、診療圏調査などに半年から1年以上かかるのが一般的です。開業の2〜3か月前には大枠を固め終え、最終的な仕上げを行い、地域や患者に向けて開業を告知していく時期にあてていけるとよいです。ここでの取り組みが円滑なスタートダッシュにつながり、開業初年度の成否を左右すると言えるでしょう。