成功確率を最大化するクリニック開業

コラム

Column

クリニック開業の家賃はいくら?賃料の目安から開業場所を考えよう

 

1.クリニック開業における家賃の重要性とは

クリニック開業における家賃の重要性とは

クリニック開業において、家賃は単なる「固定費」ではなく、経営の成否を大きく左右する重要な要素です。特に開業初期は患者数の見込みが安定しないため、収入が少ない中でも家賃を支払い続けなければならず、想定以上の家賃を選んでしまうと早々に資金繰りが悪化するリスクがあります。

また、賃料は長期にわたって継続的に発生するため、開業費用の一部として軽視することはできません。仮に月額50万円の家賃を10年間支払うと、総額は6,000万円にものぼります。つまり、開業資金としての設備投資や内装費と同等、もしくはそれ以上のインパクトを持つ経費といえます。

開業費用の中で家賃が占める割合

一般的に、開業後のランニングコストの中で家賃が占める割合は20〜30%程度とされます。これは人件費に次ぐ割合であり、経営上の固定費を圧迫する要因にもなります。そのため、収益構造を正確にシミュレーションし、無理のない家賃設定が不可欠です。

長期的な収支に与える影響

初期費用の削減に集中するあまり、高額な賃料の物件を選んでしまうと、長期的なキャッシュフローが崩れる危険性があります。逆に、多少内装費がかかっても賃料が抑えられる場所を選べば、年間を通しての利益確保がしやすくなります。家賃は単なる「出費」ではなく、立地や集患との相関を考慮した「戦略的コスト」として捉えるべきでしょう。

 

2.クリニック開業の賃料相場とその目安

賃料の目安を正しく理解することは、開業後の経営安定に直結します。ここでは、一般的な基準と診療科目ごとの傾向、立地ごとの違いを整理していきます。

一般的な目安:売上の10%以下が基準

多くの医療経営専門家が推奨する賃料の基準は、「月間売上の10%以下」です。たとえば、月の売上が500万円であれば、賃料は50万円以内が望ましいとされます。これは、家賃以外にも人件費、材料費、広告費など様々な支出が発生するため、家賃に過度に予算を割くことは経営リスクになるためです。

また、「坪単価」で賃料を比較する際の目安としては、都心部で月1坪あたり15,000~30,000円郊外では8,000~15,000円程度が多い傾向です。ただし、これは業種や設備要件によって大きく変動します。

都心部と郊外の家賃差

都心部は人通りが多く利便性も高いため、賃料は非常に高額です。特に駅徒歩1分以内の一等地などは坪単価30,000円を超えることも珍しくありません。これに対して郊外や地方都市では、坪単価10,000円以下の物件も見つかりやすく、初期投資を抑えたい開業医にとっては有力な選択肢となります。

とはいえ、都心と郊外ではターゲット層や患者数、競合状況が異なるため、賃料の安さだけで判断するのではなく、総合的な集患ポテンシャルを評価する必要があります。

診療科目別の家賃傾向

診療科目によっても、賃料設定に影響を及ぼすポイントが変わります。

内科・小児科

住宅地でも安定したニーズがあるため、駅から多少離れても集患可能。比較的賃料を抑えやすい。

皮膚科・美容皮膚科

若年層や女性をターゲットにする場合は駅近で視認性の高い立地が好まれる傾向。

歯科

近年競合が激化しており、駅前立地で差別化を図る傾向があるため、賃料が高くなりがち。

それぞれの診療科目に適した立地と賃料水準を見極めることで、経営リスクを最小限に抑えることが可能になります。

 

3.場所選びと賃料のバランスをどう考えるべきか

クリニック開業における立地選びは、家賃と集患力の「バランス感覚」が問われます。賃料が安くても患者が来ない場所では経営が成り立ちませんし、高額な家賃でも患者がしっかり来院するならば採算が合う可能性もあります。

駅前一等地 vs 住宅地・郊外

駅前一等地は交通アクセスに優れ、視認性も高く新患獲得に有利です。しかし、賃料は非常に高額で、契約条件も厳しくなる傾向があります。

一方で住宅地や郊外立地は、家賃を抑えられる点で魅力があり、地域密着型の診療に向いています。ただし、認知度を上げるために広告費や紹介戦略が必要になるケースも。

ターゲット層の行動パターンを分析し、それに合った立地と賃料のバランスを取ることが重要です。

人口動態と診療圏の観点からの検討

場所選びでは、その地域の人口動態(年齢層・世帯構成・人口増減)や、診療圏調査による潜在患者数の把握が不可欠です。開業候補地が「どれほど患者数を確保できるか」という観点から賃料の妥当性を判断すべきです。

たとえば、多少賃料が高くても競合が少なく、1日あたり50人以上の新患が見込める地域であれば、投資対効果は高くなります。

設備面とのバランス(坪単価・構造)

さらに、同じ賃料でも物件の設備仕様や構造、坪数に違いがあるため、単純に坪単価だけで評価するのではなく、設備導入や動線設計のしやすさなども考慮して総合的に判断する必要があります。

 

4.家賃が安すぎるとリスク?隠れた落とし穴に注意

家賃が安すぎるとリスク?隠れた落とし穴に注意

クリニック開業時、多くの医師が「できるだけ家賃を抑えたい」と考えるのは当然です。しかし、家賃が相場よりも大幅に安い場合には、その背景を慎重に見極める必要があります。安い家賃には“それなりの理由”が潜んでいることがあるからです。

なぜ安すぎるとNGなのか

賃料が極端に安い物件は、一見すると魅力的に映りますが、次のようなリスクがあります。

  • 立地が悪い(人通りが少ない、駅から遠い)
  • 築年数が古く、内装や設備に大規模な改修が必要
  • 以前のテナントが短期で退去している=何らかの問題がある

このような物件は、賃料が安い代わりに「集患が見込めない」「設備コストがかさむ」などの不利な条件が隠れているケースが多く、結果的にトータルコストが高くつく可能性があります。

物件の築年数・管理状況

築年数が古い物件は、断熱性や配管、電気容量などの基本インフラに問題があることもあります。医療機器の導入やITシステムの稼働には安定した設備環境が必要ですので、物件価格の安さだけに惹かれず、現地確認を丁寧に行うことが重要です。

また、管理会社やオーナーの対応が不十分な物件は、開業後のトラブル(雨漏り・騒音・共用部分の不備など)にもつながりやすく、日々の診療に支障をきたすこともあります。

集患・アクセスへの影響

集患の観点では、安い家賃の多くが“人通りが少ない”“幹線道路に面していない”“視認性が低い”といった弱点を抱えています。特に開業初期は「認知度」が重要であり、視認性やアクセスの悪さは患者数の伸びに大きな影響を与えます。

初期投資の軽減を優先して集患力の低い物件を選んでしまえば、本末転倒です。開業前の診療圏調査や通行量データの活用により、慎重に選定しましょう。

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5.賃料交渉のポイントと注意点

物件の家賃は「言い値」で決まるものではありません。クリニック開業においても、一定の交渉余地があることを念頭に置いておくべきです。ここでは、賃料交渉を円滑に進めるためのポイントを紹介します。

オーナーとの交渉術

まず、オーナー側にとって医療機関は「安定した長期入居者」として非常に魅力的な存在です。そのため、以下のような姿勢で交渉に臨むと効果的です。

  • 長期入居の意向を示す(10年契約など)
  • 内装・設備に自己資金をかける旨を伝える
  • 診療科の社会的信頼性をアピール(近隣への迷惑が少ない)

このように、オーナー側に「安心感」「信頼感」を与えることができれば、月額家賃やフリーレント(一定期間の家賃無料)などで条件緩和が実現する可能性が高まります。

フリーレント・更新条件などの確認事項

賃料の「額面」だけでなく、以下の条件についても事前に交渉・確認を行うことが大切です。

  • フリーレント期間の有無(1~3ヶ月分が相場)
  • 共益費の内容と金額
  • 契約更新時の賃料見直し条件
  • 途中解約時の違約金有無

これらを事前に整理しておくことで、想定外の出費やトラブルを防ぎやすくなります。

医療モール物件との違い

駅前などの「医療モール」内のテナント物件は、集患に有利である反面、賃料や管理費が高く、独自性のあるブランディングが難しくなることもあります。また、他科との関係性やモールの方針に左右されるリスクもあるため、個別開業との違いを理解したうえで賃料交渉を行うことが求められます。

 

6.開業時の資金計画における家賃の位置づけ

クリニック開業の成功には、家賃を含めた「資金計画」のバランスが重要です。初期費用と運転資金を分けて考え、月額家賃の負担が経営にどのような影響を及ぼすかを正確にシミュレーションする必要があります。

初期費用 vs 運転資金

資金計画は大きく分けて2つの視点で整理する必要があります。

  • 初期費用:内装・医療機器・広告費・敷金礼金など(1,500万~3,000万円程度)
  • 運転資金:開業後の3~6ヶ月分の人件費・家賃・材料費など(500万~1,000万円程度)

特に家賃は、内装工事が完了してから開業までの間にも発生するため、「空家賃」として1~2ヶ月分の余裕を見込むことが重要です。

家賃と連動する保証金・敷金

物件によっては、賃料の6ヶ月~12ヶ月分に相当する保証金や敷金を求められることもあります。これは、実質的には初期投資の一部となるため、資金調達額に含めて計画を立てなければなりません。なお、退去時の返還条件なども事前に契約内容で明示されているか確認しましょう。

融資審査における家賃の影響

クリニック開業時には、金融機関からの融資を受けるケースが多くあります。この際、月額家賃は「毎月の支出」として事業計画書に記載されるため、高額すぎる賃料は融資審査でマイナス評価になる可能性があります。収支バランスの取れた現実的な家賃設定は、融資承認のためにも重要です。

 

7.メディシーがサポートする最適な物件探し

クリニック開業における物件選びは、単に「家賃が安い」「駅から近い」といった条件だけでは語れません。診療圏、患者層、競合状況、物件構造、将来的な成長性といった多角的な視点が必要です。こうした複雑な検討を、医師が単独で進めるのは現実的ではありません

メディシーでは、物件探しから診療圏分析、開業後の運営支援までワンストップでサポートを行っています。

診療圏調査と物件評価のポイント

メディシーでは、開業予定地周辺の人口構成、年齢分布、競合状況をもとに、客観的なデータに基づいた診療圏調査を実施。単なる立地の「良し悪し」ではなく、「その診療科が勝てるエリアかどうか」を科学的に判断します。

たとえば、同じ駅近物件でも、駅の出口や交通動線によって患者の流れが大きく異なり、数百メートル違うだけで診療圏のパフォーマンスが変わることも珍しくありません。そうした判断をプロが伴走して行うことで、安定した開業を実現することができます。

メディシーのサポート内容

メディシーの物件選定サポートでは、以下の内容を一貫して提供しています。

  • 診療圏調査レポートの提供と分析
  • テナント候補の紹介
  • 契約条件のアドバイス
  • レイアウト案の作成と初期コスト見積もり

クリニック開業は「場所選びが8割」とも言われるほど重要なステップです。物件選定で不安を感じている方は、メディシーの無料相談をご活用ください。

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8.まとめ 賃料目安を正しく理解して、後悔しない開業を

賃料目安を正しく理解して、後悔しない開業を

クリニックの開業において、賃料は長期にわたり経営に影響を与える「固定的な負担」です。相場を超えた家賃は、集患が軌道に乗る前からキャッシュフローを圧迫し、経営リスクを高めます。一方で、安すぎる物件には集患力や建物管理面でのリスクが潜んでいます。

本記事で紹介した通り、以下の点が賃料選定の重要なポイントです。

  • 売上の10%以内が目安(例:月500万売上→家賃50万以内)
  • 診療圏や競合状況と連動させた物件評価
  • 診療科目ごとの立地傾向(例:美容系は駅前、内科は住宅地など)

また、郊外や地方都市には「低賃料かつ高集患が見込める」エリアも多数存在します。

後悔のない開業を実現するためには、家賃の目安を「費用」として捉えるだけでなく、「投資」としてのリターンまで含めて戦略的に判断することが不可欠です。

どのエリアが自院に合っているか?どの程度の家賃が妥当か?といった疑問をお持ちの方は、ぜひ一度無料相談をご利用ください。

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