クリニックオープン時の集患|内覧会を成功させるには?
1.クリニックの内覧会とは?その目的と役割
クリニックの内覧会は、開業前に地域住民へ施設を公開し、医師やスタッフと直接触れ合ってもらう場です。
「どんな雰囲気のクリニックか」「通いやすい環境か」を知ってもらうことで安心感を与え、開業後の集患につなげることができます。
住宅や商業施設の内覧会と異なり、医療機関の場合は“信頼関係を築くこと”が最大の目的です。地域に開かれた存在であることを示し、受診のきっかけを提供する重要なイベントといえるでしょう。
2.内覧会を実施するメリット
集患につながる認知効果
内覧会に参加した住民は「実際にクリニックを見て、医師に会った」という体験を通じて、より強く存在を認識します。その経験が受診行動につながりやすくなります。
医療機関への信頼感アップ
最新の設備や清潔な院内環境を見せることで「安心して通えるクリニック」という印象を与えられます。医師・スタッフの人柄も信頼感を高める要因です。
スタッフと地域住民の交流機会
診療開始前に直接交流することで、住民に親しみを持ってもらえます。特に受付や看護師とのやり取りは、通いやすさに直結します。
競合との差別化
同じ診療科が近隣に複数ある場合でも、内覧会を実施したクリニックは「地域住民に親しみやすい存在」という印象を与え、競合との差別化に有効です。
3.内覧会の準備
内覧会の日程決め
内覧会は、クリニック開業の約1~2か月前から準備に取りかかるのが理想的です。
内覧会の日程は、開院日直前の地域住民が来やすそうな日時(土曜・日曜・祝日の日中など)に設定しましょう。例えば連休中に設定する場合は、前半は旅行などで出かけている住民が多いことを予測し、連休後半に設定するほうが人が集まりやすい傾向にあります。
集客準備(告知・広告・SNS活用)
内覧会の認知度を高めるには、多角的な集客手段が求められます。
医療機関らしいポスターやチラシ配布
紙媒体は、高齢者層にも届きやすいです。チラシ配布は、クリニックから半径1〜2km程度の範囲が効果的で、生活圏に住むターゲット層に届きやすくなります。清潔感あるデザインを重視し、診療科目・診療時間・アクセスをわかりやすく記載します。
また、ポスターについては、地域住民が目にしやすい位置に大きく掲示するなど工夫しましょう。周知期間をできるだけ長くとれるとより効果的です。
地域情報誌・折込広告の活用
シニア層や地域密着型の住民にリーチできる新聞折込広告は依然として有効です。とくに内科や整形外科など、高齢者利用が多い診療科では大きな効果を発揮します。
SNS・Webサイトでの発信
Facebook・Instagramの地域広告は、子育て世代や働き盛り世代に届きやすい媒体です。また、公式Webサイトに「内覧会特設ページ」を設け、検索エンジン経由の集客ができるような対策をするのもよいでしょう。
さらに、Googleビジネスプロフィールの投稿機能を活用すると、検索経由で新規患者にアプローチ可能です。
既存ネットワークへの周知
調剤薬局、介護施設、保育園などの連携先にポスターを掲示してもらうことで、地域の信頼ある情報源を通じた告知が可能です。口コミに近い効果を持ち、集患の精度を高めます。
混雑緩和のための事前登録制度や、パンフレット
当日の受付混雑を避けるために事前登録制度を設けるのも一案です。また、来場者がスムーズに施設を回れるよう動線設計を行い、見学用のパンフレットや医師紹介リーフレットを用意しておくと安心です。
4.内覧会当日の運営で押さえるべきポイント
当日の人員配置
ドクターは診察室、事務職員は受付など、できるだけ定位置にいるようにし、来場者の誘導などは協力者の手伝いをお願いするとスムーズです。
スタッフ配置に余裕を持たせ、各ポイントに案内係を配置することで来場者満足度が向上します。
動線設計と院内ツアーの工夫
院内を順路形式で案内すると、施設全体をスムーズに理解してもらえます。診察室や待合室だけでなく、バリアフリー対応や感染症対策設備などを強調すると、安心感を高められます。
診療科目にあったイベントを考える
例えば、小児科では「子ども向けの健康チェックコーナー」や「風船配布」など、親子連れが来やすい仕掛けを用意することで、当日だけでなく後日の初診につながっています。
また、内科や整形外科では「血圧測定」や「骨密度測定」などの健康相談イベントを組み込み、来場者に「役立つ体験」を提供することで信頼獲得に成功しています。地域住民とのコミュニケーションが自然に広がるきっかけにもなり、内覧会の満足度・充実度も上がります。
医師・スタッフの紹介と雰囲気づくり
来場者に最も響くのは「人」です。医師が一人ひとりに声をかけ、スタッフが笑顔で応対することで、地域に親しみやすいクリニックであることを印象づけられます。
5.内覧会後のフォローが集患を左右する
来場者リストの管理とお礼状送付
当日、来場者にアンケートや簡単な来場カードを記入してもらうことで、名簿が作成できます。今後の案内を送付することに同意をそこでもらえれば、その後お礼状やメールを送ることが可能です。「今後このクリニックにかかってみよう」という気持ちを後押しします。
Web・SNSでの開催報告
内覧会の写真や雰囲気をWebやSNSで発信すると、参加できなかった地域住民にもクリニックの存在を知らせることができます。特に開業直後は「どんな先生がいるのか」を発信することが信頼構築につながります。
6. 関係者向けに別日開催も一つの手
内覧会当日は、多くの地域住民が足を運びやすいように開放するため、各関係者・連携先の方とはゆっくりお話しできないケースもあります。せっかくお祝いをもってきてくださった連携先の方々と今後も長いお付き合いをするために、関係者向けに別のお披露目会を設けるのも一つの手です。
7.失敗しないための注意点
- 告知不足: 広報活動を後回しにすると、来場者が集まらない。
- スタッフ配置の不備: 来場者が多いのに案内担当が少ないと混乱を招く。
- 医療機関らしさが薄い: イベント性ばかり強調しすぎて診療内容が伝わらない。
- フォロー不足: 来場者名簿を活用せず、その後の来院につなげられない。
これらを避けるには、準備・運営・フォローを一貫して計画的に行うことが大切です。
メディシーのクリニック開業支援
「成功確率を最大化するクリニック開業」を掲げるメディシーでは、診療圏調査による立地選定から、開業時の集患戦略、内覧会のサポートもしております。
地域性に応じた広報方法や運営体制を提案し、開業初期からの安定した集患を実現できる体制づくりを支援します。
まとめ|内覧会を成功させて開業スタートを切る
クリニックの内覧会は、単なるお披露目ではなく「地域に認知され、信頼を得るための第一歩」です。
成功には、以下の流れを徹底することが不可欠です。
- 早めの準備と十分な告知
- 地域特性や診療科目に合わせた体験イベント
- 当日の丁寧な運営とスタッフの笑顔
- 開催後のフォローアップ
これらを確実に行えば、開業初期から順調な集患につながります。