クリニックの開業数・廃業数は?今後の推移を予測
クリニックを開業するにあたっては、医療政策や診療報酬だけでなく、開業数や廃業数の推移を把握することも大切です。なぜなら、医療機関の数は地域医療の需給バランスを反映しており、競合環境や開業の適地判断に直結するからです。
日本における病院・診療所・歯科診療所の数は長期的に変化しております。
本記事では、クリニックの開業数(診療所数の推移)、廃業数(診療所減少の要因)、今後の推移予測について解説します。
日本の一般診療所数
まずは、現状の診療所数から把握していきましょう。
医療機関全体に占める診療所(クリニック)の割合
令和5年(2023年)の医療施設調査によると、全国の医療施設は 179,834 施設。その中で一般診療所数は104,894施設でした。
- 病院:8,122施設
- 一般診療所:104,894施設
- 歯科診療所:66,818施設
医療機関全体の6割近くを診療所が占めていることになります。施設数という観点では、大規模病院よりも圧倒的に「診療所」が多く、診療所の存在が日本の医療を大きく支えているといえます。
近年の一般診療所数増減
令和4年(2022年)の一般診療所数は105,182施設、令和5年(2023年)は104,894施設で、288 施設減少しております。
有床・無床の内訳数
一般診療所104,894施設のうち、有床・無床の内訳は下記です。
- 有床診療所:5,641施設
- 無床診療所:99,253施設

出典:厚生労働省ホームページ 令和5(2023)年医療施設調査
診療所全体の約95%が無床診療所という結果です。
一般診療所数は減少しているにもかからわず、無床診療所は令和4年99,224施設から令和5年99,253施設と増加しております。無床診療所の増加は、在宅医療や外来機能の強化といった医療政策とも結びついており、今後も注視すべき動きです。
以上のことから、入院機能を持たない外来中心のクリニックが、日本の医療提供体制の中心にあることがわかります。
開業と廃業の推移
令和3(2021)年10月~令和4(2022)年9月の期間内で、一般診療所の開設数は7,847施設、廃業数は6,697施設でした。その翌年令和4(2022)年10月~令和5(2023)年9月では、開設数5,437施設、廃業数5,047施設と、開設数廃業数ともに減少しております。
開業数の動向と特徴
一般診療所数や開業数が減少していながらも無床クリニックの数が増えているという点から、開業するクリニックとしては「外来主体のクリニック」が増えているといえます。
無床診療所の増加に背景には、下記のような要因が考えられます。
- 医療需要の変化:厚労省が示す病床機能再編(病床減少)の流れの中で、入院医療は大規模病院に集約され、クリニックは外来・在宅医療を担う傾向が強まっている。
- 経営上の効率性:病床を持たないことで人件費や設備費の負担を抑え、開業リスクを低減できる。
このように、開業するクリニックは「病床を持たないクリニック」が中心となっていくでしょう。
開業をご検討中のドクターは、医師の高齢化や後継者不足といった課題や社会的な流れを踏まえつつ、自院の強みをどう発揮するかが成功のカギとなります。
欠かせないのが、診療圏調査や資金計画、物件選定などの専門的なサポートです。専門家と連携すれば、競合の多い都市部でも、患者数確保が難しい地方でも、リスクを抑えた開業を実現できます。
これからクリニック開業を検討する方へ
診療圏調査と立地選定の重要性
開業にあたっては、診療圏調査を通じて地域の患者数や競合状況を把握し、立地を戦略的に選ぶことが成功の第一歩となります。
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承継開業という選択肢
廃業の大きな要因には「後継者不在」があります。そのため、承継案件が市場に出やすくなっているのも現状です。承継開業は、患者基盤や医療機器を引き継げるメリットがあり、新規開業よりも安定したスタートを切れる可能性があります。
廃業リスクを減らす経営戦略
有床診療所の減少に見られるように、時代の流れに合わない経営スタイルは持続が困難になります。開業後の廃業リスクを抑えるためには、以下のような戦略が有効です。
- 医療法人化の検討:節税や事業承継の円滑化を図れる。
- 経営の多角化:外来診療に加えて、在宅医療や予防医療などを導入。
- DX(デジタル化)活用:オンライン診療や予約システム、自動精算機の導入で効率化。
- 人材の安定確保:看護師や事務職員の定着施策を取り入れ、組織基盤を強化。
「持続可能な経営基盤を整備する」ことが必須といえるでしょう。
開業数・廃業数の推移から学ぶべきこと
本記事では、以下の点をご紹介いたしました。
- 診療所全体は近年減少しているが、無床診療所が拡大傾向にある。
- 有床診療所は減少しており、入院機能を持つクリニックは縮小傾向にある。
- 在宅医療や地域密着型のかかりつけ医を、診療所に求められている。
今後、クリニックを開業する医師に求められるのは、
- 地域ごとの需要と競合状況を見極める力
- 持続可能な経営スタイルを選択する判断力
- 承継開業やDX活用といった多様な選択肢を柔軟に取り入れる姿勢
です。
開業数・廃業数の動向は、単なる統計データではなく、将来の医療経営を左右する重要なシグナルです。
これから開業を考えている方は、こうした推移を踏まえて戦略を立てることが成功への近道となるでしょう。
専門家のサポートを
クリニックの開業は、診療所数や廃業数といった統計を踏まえたうえで、綿密な準備と戦略が欠かせません。
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